昇架
決闘は終わった。
クライマーによってジャッカーを磔にした十字架が立てられるのを満足げに眺めるアトミック魔女。
すべて計画通りに事が運んだ。
クライムは、ジャッカー倒すための計画を念入りにシミュレーションしてから遂行する描写がある。恐らく今回もそうしただろう。
アトミック魔女はジャッカーコバックを無力化する能力を有しているので、後はそこに向けて逆算していくだけ。
挑戦状で呼び出し、散々待ちぼうけを喰らわせて集中力、冷静な判断力を欠かせる。
300kgの体重をものともしないパワーでひらりと身を翻して攻撃を避け、マシンガンを乱射して簡単に組み合わず、業を煮やしたジャッカーに必殺技を出させる。
そして必殺技が初めて破られたことに動揺した隙を逃さず、自在に伸びる髪の毛で縛って締め上げる。
万一何らかの不測の事態が起きたときには、脳波を狂わせるサイボーグノイズを出してジャッカーの動きを封じる(実際にはその必要はなく、いとも簡単に倒せた訳だが)。
そこまでいけば、もう自ら手を汚す必要はない。
ジャッカーコバックを跳ね返して大地に墜落させ、髪の毛で散々締め上げて体力を奪い、なにより自信を持って放った必殺技を破られたという精神的ダメージを与えたジャッカーは赤子同然、最後の仕上げをするのは雑魚のクライマーで十分だ。
とはいえ、そこにも念入りな準備を怠らない。髪の毛で縛り上げたジャッカーを、素早く髪の毛を解いて、両腕を拡げ両脚を揃えて十字架に重ね、手際よく手足を鎖で十字架に縛り付ける。そして立てた十字架が倒れぬようしっかり十字架の根元を固める。
ジャッカーに見立てたクライマーを実際に磔にしたのかもしれない。ジャッカー役のクライマーが、磔係のクライマーにアドバイスを送ったかもしれない。
「もっと速く! 隙を与えたら逃げられてしまうぞ!」
「もっときつく縛れ! これでは脱出不可能だと思わせるんだ!」
特撮ヒーロー・ヒロインの拘束はいくつもあるが、その中でも十字架磔という刑罰は強烈だ。
古来から刑具であり墓でもある十字架。これに沿って両腕を真横に拡げ両脚をピタリと揃えた、不自然でアンバランスな体勢を無理やり取らされる。科学の粋を結集したサイボーグ戦士たちが、こんな古典的な処刑にかけられるなんて。
敵を殴り飛ばし、あらゆる武器を操り、華麗にマシンを操作する両手は、大きく拡げられ、身体から一番遠く離れた場所に固定される。その身を守ることはおろか、両手を重ね合わせて許しを請うことも許されない。
また、大地を駆け回り、高くジャンプし、敵を蹴散らし、必殺技を繰り出す両足はお行儀よく揃えたままの状態を保持させられる。味方の上官の前ぐらいでしか取ることのないようなその礼儀正しい従順なポーズを、憎き敵に献上させられる。
例えば、柱に後ろ手に縛っても拘束の効果は同じだが、十字架磔の場合、両手を敵に向かって晒している。いわばホールドアップの状態。
「この手には何も持っていません、あなたを殴ることもしません」と宣言させられているのだ。
更に「あなたの勝ちです、私たちを打ち負かしたあなたに敬意を表します」と、揃えたブーツが勝者を讃える。
近年は少なくなったが、特撮ヒーロー・ヒロインの象徴といえば、手袋とブーツ。
子供が戦隊ヒーローを描くとき、まず人形(ひとがた)を描いて、肘と膝の部分に線を引き、手袋とブーツに見立てるだろう。マスクの顔の部分に描かれた模様と手足を彩る手袋とブーツ、これらが戦隊を表す最大の特徴だ。
そんな、ヒーロー・ヒロインのアイデンティティとも言える手袋とブーツが、十字架という添え木に鎖で固定され、その身を固定するための楔と化す。手袋とブーツを封じられてもがく姿に、悪と戦う正義の戦士たちの威信は地に落ちる。子どもたちの憧れの的だった華麗で洗練された容姿も、単なる「+」という記号に成り下がり、悪の力を誇示する展示品となるのだ。
その展示場となるこの地も綿密に計算して選んだのだろう。
アジトに近く、人目につかない場所。かつ、ジャッカー本部から遠く離れた場所。思いがけず第三者が立ち入る心配もなく、ジャッカー本部からの救援も間に合わないように。
そして、ジャッカーを磔にする「十字架部隊」が隠れることができる場所。この地にやって来るジャッカーと万が一にも遭遇せずに待機できて、そのときが来たらすぐさま飛び出して素早くジャッカーを磔にできる場所
そうして選ばれたのがこの川原。
ロケハン、現地での予行演習も行われたかもしれない。
罠など仕掛ける必要はない。そんなことをしないでも勝てるし、圧倒的な力でねじ伏せた方が、より屈辱感、絶望感を与えることができるだろう。
ジャッカーを磔にするのに手頃な丘もある。
当日、悠々とここへやってきたジャッカーがその丘の上に陣取っているのを見て、アトミック魔女も十字架部隊もほくそ笑んだことだろう。
腰に手を当てて勇ましく立っているその場所が、数分後にはお前たちにとってのゴルゴタの丘と化すとも知らずに、せいぜい今のうちにうろうろと歩いておくがいいさ、もう二度と闊歩できなくなるんだから、と。
かくして、事前のシミュレーション通り、アトミック魔女はジャッカーを戦闘不能に陥れた。
ジャッカーを待たせている間や、アトミック魔女と戦っている最中に、森の中で待機していた十字架部隊は、それぞれ担当のジャッカーの姿を見て、頭の中でシミュレーションを繰り返していたことだろう。
そして、アトミック魔女の合図で、十字架と鎖を携えて、地面をのたうち回っているジャッカーへと駆け寄り、手際よくジャッカーを磔にして丘の上へと運び、十字架を立てた。
いよいよ残るは最後の総仕上げ、銃殺刑を執行するのみ。
しかしそれは、科学特捜隊殲滅作戦のほんの序章に過ぎない。
磔にしたジャッカーを人質にして、科学特捜隊に降伏を迫るというまどろっこしいことなどしない。さっさと処分して、次のステップに進むだけ。もはやジャッカーには人質の価値すらない。
いつの日か誰かがここにやってきて、十字架に架けられて事切れたジャッカーを発見するかもしれないが、そのときには既にクライムによる世界征服はほぼ完了しているだろう。かつて勇敢に戦ってきた戦士たちの死はニュースにすらならない。
そして、アトミック魔女はその功績を称えられてクライムの幹部に昇進し、多くの部下を従えて、どこかの大国を治めているかもしれない。
そんな壮大な未来図を思い浮かべていたか定かではないが、アトミック魔女は今日の時点でのクライマックス、銃殺刑執行の号令をかけるべく、銃殺隊の前に歩み出て右手を高くかざすのだった。
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ChatGPTとこのシーンを考察したシリーズ。
アトミック魔女側からの視点。
クライマーによってジャッカーを磔にした十字架が立てられるのを満足げに眺めるアトミック魔女。
すべて計画通りに事が運んだ。
クライムは、ジャッカー倒すための計画を念入りにシミュレーションしてから遂行する描写がある。恐らく今回もそうしただろう。
アトミック魔女はジャッカーコバックを無力化する能力を有しているので、後はそこに向けて逆算していくだけ。
挑戦状で呼び出し、散々待ちぼうけを喰らわせて集中力、冷静な判断力を欠かせる。
300kgの体重をものともしないパワーでひらりと身を翻して攻撃を避け、マシンガンを乱射して簡単に組み合わず、業を煮やしたジャッカーに必殺技を出させる。
そして必殺技が初めて破られたことに動揺した隙を逃さず、自在に伸びる髪の毛で縛って締め上げる。
万一何らかの不測の事態が起きたときには、脳波を狂わせるサイボーグノイズを出してジャッカーの動きを封じる(実際にはその必要はなく、いとも簡単に倒せた訳だが)。
そこまでいけば、もう自ら手を汚す必要はない。
ジャッカーコバックを跳ね返して大地に墜落させ、髪の毛で散々締め上げて体力を奪い、なにより自信を持って放った必殺技を破られたという精神的ダメージを与えたジャッカーは赤子同然、最後の仕上げをするのは雑魚のクライマーで十分だ。
とはいえ、そこにも念入りな準備を怠らない。髪の毛で縛り上げたジャッカーを、素早く髪の毛を解いて、両腕を拡げ両脚を揃えて十字架に重ね、手際よく手足を鎖で十字架に縛り付ける。そして立てた十字架が倒れぬようしっかり十字架の根元を固める。
ジャッカーに見立てたクライマーを実際に磔にしたのかもしれない。ジャッカー役のクライマーが、磔係のクライマーにアドバイスを送ったかもしれない。
「もっと速く! 隙を与えたら逃げられてしまうぞ!」
「もっときつく縛れ! これでは脱出不可能だと思わせるんだ!」
特撮ヒーロー・ヒロインの拘束はいくつもあるが、その中でも十字架磔という刑罰は強烈だ。
古来から刑具であり墓でもある十字架。これに沿って両腕を真横に拡げ両脚をピタリと揃えた、不自然でアンバランスな体勢を無理やり取らされる。科学の粋を結集したサイボーグ戦士たちが、こんな古典的な処刑にかけられるなんて。
敵を殴り飛ばし、あらゆる武器を操り、華麗にマシンを操作する両手は、大きく拡げられ、身体から一番遠く離れた場所に固定される。その身を守ることはおろか、両手を重ね合わせて許しを請うことも許されない。
また、大地を駆け回り、高くジャンプし、敵を蹴散らし、必殺技を繰り出す両足はお行儀よく揃えたままの状態を保持させられる。味方の上官の前ぐらいでしか取ることのないようなその礼儀正しい従順なポーズを、憎き敵に献上させられる。
例えば、柱に後ろ手に縛っても拘束の効果は同じだが、十字架磔の場合、両手を敵に向かって晒している。いわばホールドアップの状態。
「この手には何も持っていません、あなたを殴ることもしません」と宣言させられているのだ。
更に「あなたの勝ちです、私たちを打ち負かしたあなたに敬意を表します」と、揃えたブーツが勝者を讃える。
近年は少なくなったが、特撮ヒーロー・ヒロインの象徴といえば、手袋とブーツ。
子供が戦隊ヒーローを描くとき、まず人形(ひとがた)を描いて、肘と膝の部分に線を引き、手袋とブーツに見立てるだろう。マスクの顔の部分に描かれた模様と手足を彩る手袋とブーツ、これらが戦隊を表す最大の特徴だ。
そんな、ヒーロー・ヒロインのアイデンティティとも言える手袋とブーツが、十字架という添え木に鎖で固定され、その身を固定するための楔と化す。手袋とブーツを封じられてもがく姿に、悪と戦う正義の戦士たちの威信は地に落ちる。子どもたちの憧れの的だった華麗で洗練された容姿も、単なる「+」という記号に成り下がり、悪の力を誇示する展示品となるのだ。
その展示場となるこの地も綿密に計算して選んだのだろう。
アジトに近く、人目につかない場所。かつ、ジャッカー本部から遠く離れた場所。思いがけず第三者が立ち入る心配もなく、ジャッカー本部からの救援も間に合わないように。
そして、ジャッカーを磔にする「十字架部隊」が隠れることができる場所。この地にやって来るジャッカーと万が一にも遭遇せずに待機できて、そのときが来たらすぐさま飛び出して素早くジャッカーを磔にできる場所
そうして選ばれたのがこの川原。
ロケハン、現地での予行演習も行われたかもしれない。
罠など仕掛ける必要はない。そんなことをしないでも勝てるし、圧倒的な力でねじ伏せた方が、より屈辱感、絶望感を与えることができるだろう。
ジャッカーを磔にするのに手頃な丘もある。
当日、悠々とここへやってきたジャッカーがその丘の上に陣取っているのを見て、アトミック魔女も十字架部隊もほくそ笑んだことだろう。
腰に手を当てて勇ましく立っているその場所が、数分後にはお前たちにとってのゴルゴタの丘と化すとも知らずに、せいぜい今のうちにうろうろと歩いておくがいいさ、もう二度と闊歩できなくなるんだから、と。
かくして、事前のシミュレーション通り、アトミック魔女はジャッカーを戦闘不能に陥れた。
ジャッカーを待たせている間や、アトミック魔女と戦っている最中に、森の中で待機していた十字架部隊は、それぞれ担当のジャッカーの姿を見て、頭の中でシミュレーションを繰り返していたことだろう。
そして、アトミック魔女の合図で、十字架と鎖を携えて、地面をのたうち回っているジャッカーへと駆け寄り、手際よくジャッカーを磔にして丘の上へと運び、十字架を立てた。
いよいよ残るは最後の総仕上げ、銃殺刑を執行するのみ。
しかしそれは、科学特捜隊殲滅作戦のほんの序章に過ぎない。
磔にしたジャッカーを人質にして、科学特捜隊に降伏を迫るというまどろっこしいことなどしない。さっさと処分して、次のステップに進むだけ。もはやジャッカーには人質の価値すらない。
いつの日か誰かがここにやってきて、十字架に架けられて事切れたジャッカーを発見するかもしれないが、そのときには既にクライムによる世界征服はほぼ完了しているだろう。かつて勇敢に戦ってきた戦士たちの死はニュースにすらならない。
そして、アトミック魔女はその功績を称えられてクライムの幹部に昇進し、多くの部下を従えて、どこかの大国を治めているかもしれない。
そんな壮大な未来図を思い浮かべていたか定かではないが、アトミック魔女は今日の時点でのクライマックス、銃殺刑執行の号令をかけるべく、銃殺隊の前に歩み出て右手を高くかざすのだった。
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ChatGPTとこのシーンを考察したシリーズ。
アトミック魔女側からの視点。
VierKreuze
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